わたしが働いているNPO湘南ライフサポート・きずなでは、去年の11月から週3回藤沢カトリックセンターの2階を会場をお借りして、経済的に学習塾に通うのが難しい生活保護世帯や在日外国人・生活困窮家庭の子どもたちに学習の機会を与えるために学習支援プログラムを始めました。
このプログラムは、藤沢のホームレス訪問活動に参加していた高校の先生方が、自分たちの職場でも、家庭問題で学習の機会に恵まれず、退学してしまう子供がいる。そういう状況をなんとか少しでも良くしていきたい。子どもたちに学習の機会と居場所を用意してあげられないだろうか。という想いから始まりました。
昨年6月に成立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」には、家庭や生まれ育った環境によって教育の機会均等が阻害されることがないよう、対策を講じることが国の責務であると明記されています。いま、大きな社会問題となっている貧困格差の問題は、児童生徒の学力差を生じさせるだけでなく、学校内のいじめや非行、家庭での虐待や養育拒否、さらに、不登校を生む一つの要因ともなっているのです。こうした問題は学校現場だけでの解決困難で、社会全体で取り組んでいくべき福祉的課題であるといえるのではないでしょうか。
どうなるかわからない。とりあえず始めながらやり方を考えて行こうということで、比較的子どもたちが来やすく、かつセンターが利用されていない夕方を中心に部屋を取り、現役を引退し、今は時間講師として働いている先生方や、その教え子の大学生が中心になってこのプログラムはスタートしました。
子供の募集は、藤沢市の福祉事務所や教会の国際部を中心に、学習支援の必要な子どもたちに声をかけてもらいました。
始めて見ると、大勢の子供達が来てくれました。高校受験を控えているが、なかなか勉強が追いついていない中三生が3名。その子たちが兄弟を連れて、すぐに10名近い人数になりました。また、その子たちが同じような境遇の友達に声をかけ、これまでに延30名以上の子どもたちが参加し、教会で勉強するようになりました。
何度か参加して、来なくなった生徒もいますが、多くの子は続けて参加しています。
勉強だけではなく、学校や学年を越えた友だちもでき、先生たちとも学校のこと・友達のことなど話をするようになり、すっかり自分たちの「居場所」として定着してきたように感じます。
その中でも、嬉しかったのは、受験を控えていた中三生全員が、無事に高校入学できたことでした。
このプログラムは、利用する生徒が明るく楽しく過ごし、自信を取り戻せる場所を提供することを一つの目標にしています。そんな意味で、高校を中退し挫折していた子が、高校卒業検定を目指して勉強しながら、参加している小学生の勉強や面倒を見ている姿を見ると、始めてよかったなと思えてきます。
新学年を迎えた今、勉強ばかりではなく、みんなが楽しく交わりながらひとつになれるような「お楽しみ会」も計画中です。また、スポンサーが付けば夏休みにどこかで勉強と遊びを兼ねた「夏合宿」ができたらいいなと期待と夢が広がっています。
このように活動できるのも、教会のみなさまのご理解やご協力があるからだと感じて、感謝しています。これからも子どもたちがワイワイやっていて、うるさいなぁと感じることや、204号室の一部を教材置き場として占領してしまい、迷惑をかけていることもあるかもしれませんが、今後ともどうぞ暖かくこどもたちの成長を見守ってくださればうれしいです。(HS)
藤沢カトリック教会 会報 八角形にゅーす5月号より
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