2009年10月21日水曜日

2009年 近況報告

今年の総会前に会員の皆様に送った近況報告を掲載します。



湘南ライフサポート・きずな
会員、賛助会員、サポーターの皆さま



近 況 報 告


 近況報告を早く書かなければと思いつつ、日常の雑事に追われてついにこんな時期になってしまいました。申し訳ありませんでした。この一年の報告も含め、各事業の近況をお知らせいたします。

 昨年秋のいわゆるリーマンショック以来、世界の経済状況はすでにご存知の通りですが、私たちのこの活動を通しても、このような経済的な状況が社会の弱い部分に大きな影響を与えていることを実感しています。昨年末より私たちのもとに寄せられる相談の中身や質が大きく変わってきました。昨年中ごろまでは、比較的長い期間野宿生活を送ってこられた方や、さまざまな個人的な理由で生活に困窮し、それまでの生活を続けられなくなって来られた方々からの相談が比較的多くを占めていたのですが、昨年末以来、この経済状況で職を失ってしまい、新たな職のめどもつかず住まいも失ってしまった方々からの相談が急増しました。それとともに、これまで50~60代が多かった相談者も、若い人では20代前半、これまでまれだった30~40代の方はめずらしくなくなりました。また、外国人からの相談件数も増えつつある状況です。

 そのような、これまでに無かった層の相談が増えた上に、これまでの層が減ったわけでもありません。そのためわたしたちの活動はほぼフル回転の状況で、働いてもらっている相談員をはじめとしたスタッフの方々にも、ゆっくり休んでもらったり、個別のケースにじっくり時間をかけて取り組んでもらえるような余裕があまりなくなってしまっているのが現状です。施設のほうも常にほぼ満杯の状況で、修道院や他のグループの施設などを利用させてもらいながら、何とかやりくりしている状況が続いています。

 神奈川県との協働事業である「きずな相談室及びシェルター」は4年目を迎えましたが、年々利用者数が増大しています。シェルターも開設以来、1日たりとも空になった日は無く、連続利用記録を更新し続けています。今では、緊急シェルターであるにもかかわらず、入所待ちが必要というとんでもない状況になっています。それだけ多くの方々に利用していただいているということは、退所後のフォローアップの件数も増加するということで、そちらのほうも優先順位をつけて何とかこなしている状態です。県からの負担金をいただいてモデル事業として行われているこの活動も、5年経過する来年度で一応終了することになります。しかし、これまでの実績が示すように、今の社会状況の中でこの事業はとても重要な役割を担っているのではないかと思っています。そのために、来年度で終了する負担金事業が終わった後も、何らかの形で継続させていきたいと思っています。県財政も逼迫し新規予算獲得もかなり難しい状況の中で、そのための財源を確保するために、今年度から積極的に事業継続に向けた運動を行っていきたいと考えています。

 ポルト湘南・茅ヶ崎は創立7年を迎えました。無事7年を過ごせたことは、関わってくださった多くの方々のおかげだと感謝しております。居心地がいいためか(?)長期の方が多かったのですが、ここ一年でかなりの動きがあり、設立当初からいらした方の最後の一人も無事にアパートに転居しました。そのため、ひとり暮らしは難しい数名の方を残し、ほとんどの方々がここ1年で来られた方々になりました。また、ここ一年はほぼ満杯で、誰かが出てもすぐ新たな方が入ってくるような状態です。そのため、中の人間関係も変わり雰囲気も変化しました。もちろん大勢の他人が共同生活をする場所ですので、それなりの問題やぶつかり合いなどもあります。それでも施設長の人柄でしょうか、やはりポルト湘南・茅ヶ崎は独特の雰囲気が有るような気がします。

 昨年開設したポルト湘南・辻堂は茅ヶ崎に比べると半分以下の規模の施設です。ある程度以上の年齢の方々が、茅ヶ崎よりも少しゆとりを持って住めるよう、全室6畳の完全個室の施設です。老人施設でも終の棲家でも有りませんので、機会があれば利用者がアパートでの居宅生活に移行できるよう支援しますが、独居に不安を抱える方には無理強いせず、ここを自分の家と思って暮らしていただければと思っています。やはり共同生活ではいろいろな問題やぶつかり合いは避けられませんが、ここでは入居者のミーティングを定期的に行って、出来るだけお互いが理解しあえるよう努めています。入居者の孫くらいの年代の施設長ですが、立派に役割を果たしてくれています。

 今年に入ってポルトのような無料低額宿泊施設が、「貧困ビジネス」の温床であるかのようにマスコミでたびたび取り上げられています。確かに運営の仕方しだいでは生活困窮という立場の人々を利用してそこそこの利益を上げることも出来ます。しかし、公的なセーフティネットが充分でない現状では、無料低額宿泊所やそれ以上問題の多い無届の施設なども利用せざるを得ないのも現実です。そのような中で、経営も成り立たせながら、より質の良い心のこもった施設運営を心がけて行きたいと思っています。

 この活動を始めて、これまでに数百名の方々と関わって来ました。施設から出て行った多くの方々のすべてを把握しているわけではありませんが、もう数年も前に施設を出て行った方々が今でも遊びに来てくれたり、何かあるたびに家族のように相談や頼みごとをしに来てくれるのを見ると、私たちがこの活動を始めたときの理念、「命を支え、きずなをつくる」ことが少しはかたちになれたかなと思っています。

 これで今年の報告を終わらせていただきます。どうぞこれからも湘南ライフサポート・きずなとともに歩んでいってくださいますようにお願いいたします。

2009年8月16日

特定非営利活動法人 湘南ライフサポート・きずな
理事長 川辺克郎

0 件のコメント:

コメントを投稿