2009年10月23日金曜日

よみがえり

ポルト湘南・辻堂の施設長をしています吉村です。

ポルト湘南・辻堂の入所者にKさんという方がいらっしゃいます。
そのKさん、今はまだ「死んで」いますがもうすぐ「生き返る」ことになりました。


Kさんは70歳を超える年齢にもかかわらず湘南海岸の砂防林で10年近く生活をしながら仕事をされていました。
今年に入り、体調も思わしくなくなりテント生活に終わりを告げて生活保護を受けてポルト辻堂で生活することになりました。

「大体のことは自分でできる」と活動的なKさんが最も気にしていたのが「戸籍が無いこと」でした。
Kさんは故郷を若くして出ることとなり、もう何十年と戻っておらず親戚の方たちとも連絡を取っていませんでした。
ずっと音信普通であった、ということで親戚から「失踪届」を出されていたのです。
行方不明で音信不通、Kさんは戸籍から消され「死んだこと」にされていました。

生活保護を受けることはできたものの、戸籍が無くては何の権利も無い状態。
そこで私たちは「失踪宣告の取消」の手続きを取ることにしました。
裁判所に申立をし、ご本人や親戚の方などの調査を経て、先日めでたく失踪宣告取消の審判を受けました。

その審判も確定し、今日はKさんと市役所に失踪宣告取消の届出をしてきました。
本籍地で戸籍を復旧してもらうのにもう少し。そうすればKさんは「よみがえる」ことになります。

「これで真人間になれる」と冗談めかして言うKさん、「やっと選挙にも行ける」とも話していました。
その時の呼び出しの番号札を記念に取っておくそうです。それだけ喜ばしいことなのでしょうね。
私も肩の荷が下りました。

2009年10月22日木曜日

無料総合相談会

NPO法人湘南ライフサポート・きずなの副理事長の高沢です。
前のブログにはたまに書き込みしていましたが、新ブログには初書き込みです。

私は相談業務担当理事の理事でもありますので、今日は神奈川県委託事業の無料総合相談会のお知らせをしたいと思います。
この事業は無料法律相談会として、2006年度~続けて委託されている事業で、今年で4年度目です。
2009年3月に「ホームレス特措法」に基づく神奈川県の実施計画が改定されたことを受け、単に法律相談だけでなく、生活相談(特に生活保護などの相談)も必要な相談と位置付けられました。
また、今後の予定としては看護師などの協力を得て、血圧測定などの健康相談も行っていく予定です。

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具体的な日程としては以下の通りです。

①2009年10月25日(日)PM2時~5時…茅ヶ崎カトリック教会
②2009年11月29日(日)PM2時~5時…小田原カトリック教会
③2010年1月31日(日)PM2時~5時…平塚カトリック教会
④2010年2月7日(日)PM2時~5時…日本キリスト教団・翠ヶ丘教会(相模原)
⑤2010年3月22日(月・休)PM2時~5時…藤沢カトリック教会


どんなことを相談できるの?
1)借金、クレジット、サラ金、多重債務などのことで困っている
2)生活保護を受けたい。
3)体の調子が悪いので、医者にかかりたい。
4)住民票や戸籍についてき聞きたい。
5)アパート生活のために保証人がいない。どうしたらよいか。
6)給与が未払いになっていて困っている。
7)荷物を撤去されて困っている。
8)暴行・襲撃を受けて困っている。
9)アパートや寮に移りたい。
*その他、気になることがあれば、どんなことでも一人で悩まず、遠慮せず相談してください。

主催:NPO法人 湘南ライフサポート・きずな
協力:神奈川県青年司法書士協議会
    寿支援者交流会
問い合せ先:0466-28-8814(きずな相談室)

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身近に生活に困った方いれば、是非ご活用下さい。

2009年10月21日水曜日

2009年 近況報告

今年の総会前に会員の皆様に送った近況報告を掲載します。



湘南ライフサポート・きずな
会員、賛助会員、サポーターの皆さま



近 況 報 告


 近況報告を早く書かなければと思いつつ、日常の雑事に追われてついにこんな時期になってしまいました。申し訳ありませんでした。この一年の報告も含め、各事業の近況をお知らせいたします。

 昨年秋のいわゆるリーマンショック以来、世界の経済状況はすでにご存知の通りですが、私たちのこの活動を通しても、このような経済的な状況が社会の弱い部分に大きな影響を与えていることを実感しています。昨年末より私たちのもとに寄せられる相談の中身や質が大きく変わってきました。昨年中ごろまでは、比較的長い期間野宿生活を送ってこられた方や、さまざまな個人的な理由で生活に困窮し、それまでの生活を続けられなくなって来られた方々からの相談が比較的多くを占めていたのですが、昨年末以来、この経済状況で職を失ってしまい、新たな職のめどもつかず住まいも失ってしまった方々からの相談が急増しました。それとともに、これまで50~60代が多かった相談者も、若い人では20代前半、これまでまれだった30~40代の方はめずらしくなくなりました。また、外国人からの相談件数も増えつつある状況です。

 そのような、これまでに無かった層の相談が増えた上に、これまでの層が減ったわけでもありません。そのためわたしたちの活動はほぼフル回転の状況で、働いてもらっている相談員をはじめとしたスタッフの方々にも、ゆっくり休んでもらったり、個別のケースにじっくり時間をかけて取り組んでもらえるような余裕があまりなくなってしまっているのが現状です。施設のほうも常にほぼ満杯の状況で、修道院や他のグループの施設などを利用させてもらいながら、何とかやりくりしている状況が続いています。

 神奈川県との協働事業である「きずな相談室及びシェルター」は4年目を迎えましたが、年々利用者数が増大しています。シェルターも開設以来、1日たりとも空になった日は無く、連続利用記録を更新し続けています。今では、緊急シェルターであるにもかかわらず、入所待ちが必要というとんでもない状況になっています。それだけ多くの方々に利用していただいているということは、退所後のフォローアップの件数も増加するということで、そちらのほうも優先順位をつけて何とかこなしている状態です。県からの負担金をいただいてモデル事業として行われているこの活動も、5年経過する来年度で一応終了することになります。しかし、これまでの実績が示すように、今の社会状況の中でこの事業はとても重要な役割を担っているのではないかと思っています。そのために、来年度で終了する負担金事業が終わった後も、何らかの形で継続させていきたいと思っています。県財政も逼迫し新規予算獲得もかなり難しい状況の中で、そのための財源を確保するために、今年度から積極的に事業継続に向けた運動を行っていきたいと考えています。

 ポルト湘南・茅ヶ崎は創立7年を迎えました。無事7年を過ごせたことは、関わってくださった多くの方々のおかげだと感謝しております。居心地がいいためか(?)長期の方が多かったのですが、ここ一年でかなりの動きがあり、設立当初からいらした方の最後の一人も無事にアパートに転居しました。そのため、ひとり暮らしは難しい数名の方を残し、ほとんどの方々がここ1年で来られた方々になりました。また、ここ一年はほぼ満杯で、誰かが出てもすぐ新たな方が入ってくるような状態です。そのため、中の人間関係も変わり雰囲気も変化しました。もちろん大勢の他人が共同生活をする場所ですので、それなりの問題やぶつかり合いなどもあります。それでも施設長の人柄でしょうか、やはりポルト湘南・茅ヶ崎は独特の雰囲気が有るような気がします。

 昨年開設したポルト湘南・辻堂は茅ヶ崎に比べると半分以下の規模の施設です。ある程度以上の年齢の方々が、茅ヶ崎よりも少しゆとりを持って住めるよう、全室6畳の完全個室の施設です。老人施設でも終の棲家でも有りませんので、機会があれば利用者がアパートでの居宅生活に移行できるよう支援しますが、独居に不安を抱える方には無理強いせず、ここを自分の家と思って暮らしていただければと思っています。やはり共同生活ではいろいろな問題やぶつかり合いは避けられませんが、ここでは入居者のミーティングを定期的に行って、出来るだけお互いが理解しあえるよう努めています。入居者の孫くらいの年代の施設長ですが、立派に役割を果たしてくれています。

 今年に入ってポルトのような無料低額宿泊施設が、「貧困ビジネス」の温床であるかのようにマスコミでたびたび取り上げられています。確かに運営の仕方しだいでは生活困窮という立場の人々を利用してそこそこの利益を上げることも出来ます。しかし、公的なセーフティネットが充分でない現状では、無料低額宿泊所やそれ以上問題の多い無届の施設なども利用せざるを得ないのも現実です。そのような中で、経営も成り立たせながら、より質の良い心のこもった施設運営を心がけて行きたいと思っています。

 この活動を始めて、これまでに数百名の方々と関わって来ました。施設から出て行った多くの方々のすべてを把握しているわけではありませんが、もう数年も前に施設を出て行った方々が今でも遊びに来てくれたり、何かあるたびに家族のように相談や頼みごとをしに来てくれるのを見ると、私たちがこの活動を始めたときの理念、「命を支え、きずなをつくる」ことが少しはかたちになれたかなと思っています。

 これで今年の報告を終わらせていただきます。どうぞこれからも湘南ライフサポート・きずなとともに歩んでいってくださいますようにお願いいたします。

2009年8月16日

特定非営利活動法人 湘南ライフサポート・きずな
理事長 川辺克郎

きずな便り再開


NPO法人湘南ライフサポート・きずなのオフィシャルブログです。以前のところが閉鎖されてしまったので、こちらに移ってきました。ブログのURLはhttp://kizunadayori.blogspot.com/です。

これからは現場のスタッフが交代で投稿する予定ですので、お楽しみに。